北関東医学
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悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節転移の遺伝子診断
田村 敦志遠藤 雪恵荻野 幸子竹内 裕子永井 弥生織内 昇遠藤 啓吾石川 治
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2004 年 54 巻 3 号 p. 209-214

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抄録

【背景と目的】悪性黒色腫においてセンチネルリンパ節転移は, これまで主に病理組織学的に診断されてきた.我々は病理組織学的には発見困難な微小転移を診断する目的で, 腫瘍細胞に特異的に発現するチロシナーゼm-RNAを検出し, 転移の有無を検討した.【対象と方法】2001年10月から2004年4月までの間に群馬大学皮膚科で外科的治療を行った臨床ステージI, IIの悪性黒色腫患者12例を対象とした.色素法とRI法を併用し同定・摘出したセンチネルリンパ節は2分割し, 一方は病理組織学的に検索した.残りの組織からRNAを抽出し, RT-nested PCR法でチロシナーゼm-RNAの検出を試みた.【結果】病理組織学的にセンチネルリンパ節に転移を認めた例は12例中6例, RT-nested PCR法でチロシナーゼm-RNAを検出した例は7例であった.また郭清して得られた非センチネルリンパ節にもRT-PCR法を行った6例の検討では, 3例において病理組織学的に転移を認めなかったリンパ節にチロシナーゼm-RNAが検出された.【結語】センチネルリンパ節転移のチロシナーゼRT-nested PCR法を用いた遺伝子診断は微小転移を発見する上で有用な方法と考えられた.

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