1979 年 1 巻 4 号 p. 431-440
原発性アルドステロン症37例を対象として, 副腎静脈造影法により腫瘍局在性を診断した。対象例は全て手術を施行し, 一側性腺腫例であることを確かめている。副腎静脈へのカテーテル挿入は, 左側で31例に, 右側では33例に成功したが, 静脈像上明確に腫瘍局在を判定しえたのは, 左副腎腺腫で77%, 右側の場合には70%, 全体では73%の症例であった。特に径1cm以下の腫瘍では診断が困難であった。本法の合併症としては, 37例中9例の副腎内で造影剤の血管外溢流像を認めた。内訳は両側性3例, 右側6例である。そのうちの1例は腫瘍摘除後に副腎不全を発症し, ステロイドホルモンの補充療法を必要とした。原発性アルドステロン症の副腎内静脈の破れやすいこと, 特に右側に多発していることが報告されているので, 静脈造影法による腫瘍局在性診断は, 他の診断法(副腎スキャンなど)を試みて患側か決定出来ないときに、慎重に施行すべきことが強調される。