当科で過去19年間に経験した胃平滑筋腫瘍37例についてとくに腫瘍悪性度について検討を加えた.対象の内訳は平滑筋腫14例, 平滑筋肉腫20例, 平滑筋芽細胞腫3例で, これらをA群 (平滑筋腫14例), B群 (平滑筋肉腫, 平滑筋芽細胞腫症例中無再発13例), C群 (平滑筋肉腫, 平滑筋芽細胞腫症例中非治癒切除または再発6例) に分けて, 腫瘍径, 核分裂像, 細胞密度, 核面積, 核形態, 腫瘍線維束形成について比較検討を行ったところ, 腫瘍径, 核分裂像, 核形態, 腫瘍線維束形成が腫瘍悪性度判定に重要な因子と考えられた.腫瘍径が5cm以下のものは予後良好であり, 10cmを越えるものは予後不良であり, 核分裂像では400倍視野10視野中の平均で3.0/HPFを越えるものの予後は不良であった.核形態, 腫瘍線維束形成は相関があり, 核形態がspindleshapeで線維束形成が明らかなものは予後良好であり, round shapeな核を持ち線維束形成の不明瞭なものは予後不良であった.