脳卒中
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脳塞栓および血栓性脳動脈閉塞における脳血流量
慢性期脳血流量の意義
熊谷 芳夫峰松 一夫長木 淳一郎田代 幹雄山口 武典
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1985 年 7 巻 4 号 p. 306-313

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抄録

一定の臨床的診断基準により診断された脳塞栓 (塞栓群) 43例および血栓性脳動脈閉塞症 (血栓群) 43例を対象として, 発症より1ヵ月以上経過した時点での133Xe吸入法による局所脳血流量測定を行った.今回対象となった2群の歩行能力から見た重症度はほぼ一致していた.CT上の梗塞巣の広がりは塞栓群の方が有意に大であったが, 病巣側, 非病巣側それぞれの半球平均脳血流量 (mCBF) は2群間で差がなかった.両群とも病巣側mCBFは非病巣側mCBFに比べ有意に低値であった.転帰を歩行可能と不能とに分けた場合, 歩行可能例のmCBFは不能例のそれに比べ高値であり, 転帰が同じ場合には塞栓群, 血栓群といった病型によるmCBFの差はなかった.両群とも年齢とmCBFとの間に有意の負の相関があり, 塞栓群においてCT上の梗塞巣の広がりとmCBFとの間に強い負の相関が見られた.この2群における慢性期の局所脳血流量の臨床的意義とその差異について考察した.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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