日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
—総説—
副甲状腺におけるビタミンD受容体の減少が二次性副甲状腺機能亢進症を進行させる
福田 直子田中 弘之冨永 芳博深川 雅史黒川 清清野 佳紀
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 7 巻 2 号 p. 142-146

詳細
抄録

 慢性腎不全の副甲状腺における活性型ビタミンD (1,25D) に対する抵抗性の原因の1つに副甲状腺の1,25D受容体 (VDR) の減少が提唱されている。これまでの生化学的実験では腎不全患者や腎不全モデルの副甲状腺でVDRの減少が示されたが,減少はみられないという報告もあった。そこで我々はVDRの分布を調べるために,16人の透析患者より手術的に摘出した副甲状腺20腺に抗VDR抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。副甲状腺は結節性型と,び漫性型の過形成に分類され,前者は後者より病態の進行した状態と考えられている。我々の実験では前者は後者よりVDRの密度が低いことが示された。さらに,2腺のび漫性型過形成の副甲状腺内に結節形成部分があり,その部分ではVDRはほとんど染色されなかった。またVDR密度と腺の重量間には負の相関関係が認められた。以上より副甲状腺のVDR密度の減少が二次性副甲状腺機能亢進症の進行と副甲状腺細胞の増殖に関与することが示唆された。

著者関連情報
© 1994 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top