肝臓
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肝粘着性細胞およびKupffer細胞におけるtumor necrosis factorの産生とprostaglandinによる制御
河田 則文溝口 靖紘市川 裕三申 東桓筒井 ひろ子小林 絢三近藤 洋子森澤 成司門奈 丈之山本 祐夫
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キーワード: 肝粘着性細胞, Kupffer細胞
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1990 年 31 巻 2 号 p. 130-138

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抄録

マウスにPropionibacterium acnes (P. acnes)加熱死菌を静注すると,一週後には肝臓に単核細胞が浸潤し,微量のlipopolysaccharide (LPS)を追加静注すると,広範な肝細胞壊死が誘導される.著者らは,この肝細胞障害の誘導にある種のcytokineとアラキドン酸代謝産物が関与する可能性があることを示唆した.本研究では,正常マウスKupffer細胞ならびにP. acnes投与マウスの肝粘着性細胞を分離し,tumor necrosis factor (TNF)の産生とそのprostaglandin (PG)による制御について検討した.その結果,LPS刺激によりKupffer細胞ならびに肝粘着性細胞からTNFが産生されること,その産生がPGEおよびPGI2によって抑制されることが明らかとなった.以上の結果は,肝局所の炎症反応の制御にPGが関与することを示唆すると同時に,PGEあるいはPGI2投与により,本モデルの肝障害が著明に軽減されるという著者らの以前の成績の一端を説明できると考えられる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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