日本臨床免疫学会会誌
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総合健診にて高γグロブリン血症を発見され,後に血小板減少を機会に診断されたHIV感染者の臨床経過
金井 恵美子宮澤 啓介桑原 三郎吉川 治外山 圭助押味 和夫
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1995 年 18 巻 1 号 p. 110-115

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抄録

症例は57歳男性,人間ドックにて高γグロブリン血症を指摘され,精査目的のために入院となった.初回入院時は,高γグロブリン血症(IgG 2,662mg/dl, IgA 422mg/dl)を除くその他の検査では異常が検出されなかったが,その7カ月後には血小板減少症を併発.末梢血リンパ球にてCD 413.4% (200/μl)と低下しCD 4/CD 80.19と逆転を認めた.またHIV抗体陽性より,血小板減少および高γグロブリン血症はHIV感染の合併症と診断された.血小板数は2×104lまで一過性に低下をきたしたが,無治療にて16×104l前後に改善し,現在診断後4年を経過した時点で良好なPerformance Statusが維持されている.また,本症例における血小板の変動とPAIgGおよび血清γグロブリン値には有意な相関は認められなかった.総合健診でしばしば遭遇する高γグロブリン血症において,特に血小板減少を伴うとき, HIV感染者も念頭に入れて検索を進める必要性が示唆された.

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