日本内科学会雑誌
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Renin-angiotensin-aldosterone系と加令
特に血漿レニン基質濃度,血漿レニン活性,血漿活性型および不活性型レニン濃度,活性型レニン比,血漿アルドステロン濃度に及ぼす加令の影響について
角田 一男阿部 圭志後藤 敏和清野 正英保嶋 実千葉 知春山 敏明尾股 健佐藤 公田島 治郎吉永 馨
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1984 年 73 巻 9 号 p. 1304-1309

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抄録

正常血圧者(18~84才) 60人を対象として年代別5群に分類し,常食下早朝安静臥床空腹時における血漿レニン基質濃度,血漿レニン活性,血漿アルドステロン濃度,総レニン濃度,不活性型レニン濃度,活性型レニン濃度および活性型レニン比を測定し,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系に及ぼす加令の影響を検討した.血漿レニン基質濃度測定では精製ヒトレニンを,不活性型レニンの活性化ではトリプシンを,レニン濃度の測定では羊レニン基質を用いて血漿レニン活性と同様に産生アンジオテンシンI量を放射免疫法で測定した.その結果血漿レニン活性,血漿アルドステロン濃度,活性型レニン濃度,活性型レニン比は加令との間に有意の負相関を認め,若年者に比して有意に老年者で低値を示した.また血漿レニン活性および活牲型レニン濃度と血漿アルドステロン濃度の間,血漿レニン活性と活性型レニン濃度の間において有意の正相関を認めた.しかし血漿レニン基質濃度,総レニン濃度,不活性型レニン濃度は加令変化を呈さなかつた.よつて加令に伴う血漿レニン活性の低下は血漿レニン基質濃度の減少によるのではなく活性型レニン濃度の低下による事,血漿アルドステロン濃度の低下は血漿レニン活性の減少による事,また全体としてのレエン産生は加令変化を示さないが,活性型レニンの分泌あるいは不活性型レニンの活性化において加令が何らかの影響を及ぼす可能性がある事,などが考えられた.

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