日本透析療法学会雑誌
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高齢透析患者の長期入院に関連する因子 長期入院の看護面からの解決法
戸村 成男長野 久子小林 繁郎柴田 道子中村 義弘浅川 千秋皿田 敏明千田 佳子
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1993 年 26 巻 9 号 p. 1535-1538

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抄録

高齢透析患者の退院を困難にしている因子を明らかにするために, 通院透析が可能となった症例と退院できずに入院を続けている症例とを比較し, 看護面を中心に長期入院の解決法について検討を行った. 入院群と通院群では, 年齢, 原疾患, 合併症, 身体的側面 (ADL: 日常生活動作) では大きな差は認められなかった. 性格的側面, すなわち自己管理能力および意欲において, 入院群は通院群に比較し低い傾向を示した. また, 社会的側面では入院群において家族の受け入れ状況が悪く, 通院介助が不可能な例が多く認められた. そして実際に, 透析導入後, 長期入院を余儀なくされた患者が, 十分に時間をかけた患者教育・指導と家族への積極的な働きかけによって通院可能となった症例を経験した. 高齢透析患者の入院の長期化を防ぐには, 自己管理能力向上のための患者教育・指導, 細かく段階を分けた退院指導, 家族への積極的な協力・支援の要請, 看護スタッフと家族との日常的な情報交換が重要であると考えられた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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