脳卒中
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原著
脳卒中地域医療の現状を把握するための全国アンケート調査-通所および訪問施設事業所の現状-
古賀 政利上原 敏志長束 一行安井 信之長谷川 泰弘成冨 博章岡田 靖峰松 一夫
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2008 年 30 巻 5 号 p. 697-709

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抄録

脳卒中医療・介護施設の緊密な連携と情報共有の重要性が強調されている.通所および訪問介護4,166施設・事業所に対して,施設の概要,脳卒中地域連携,介護保険,適当な評価尺度に関するアンケート調査を行った.有効回答22%で,うち80%が脳卒中患者に介護サービスを提供していた.利用者は1カ月平均112人(脳卒中患者26人)で,受け入れ制限理由は「特になし」(47%)が最多であった.81%がリハビリを提供していたが,脳卒中後遺症のある利用者がリハビリを「十分に受けている」と回答したのは10%であった.多くが地域医療圏を「市町村」(43%)と回答し,その中心的役割を「回復期病棟」(38%)に求めていた.他の医療介護施設事業所や自治体との連携が良好との回答は多くはなかった.医療(介護)情報を「既に共有」,「共有予定」,「共有予定なし」は各々9(10)%,15(17)%,62(59)%であった.医療保険と介護保険によるシステムの問題点をあげる割合が高く,なかでも「十分なリハビリを提供しにくい」(60%)が最多であった.第三者が通所および訪問介護施設事業所を評価するのに適当な評価尺度では「介護支援専門員との連携」(44%)が最多であった.本調査により,通所および訪問介護施設・事業所の現状が明らかとなった.

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© 2008 日本脳卒中学会
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