消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
腹腔鏡にて長期経過を観察しえたサルコイドーシスの1例
河辺 朋信原 正樹坂口 正巳大川 康彦奥秋 靖都野 晋一穂苅 厚史林 昭太新 智文蔵本 暁小池 和彦奥田 丈二榎本 康之清水 能一銭谷 幹男戸田 剛太郎
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 42 巻 p. 293-297

詳細
抄録

 9年の長期経過中に2回の腹腔鏡検査を施行し,経時変化を観察しえたサルコイドーシスの1例を経験し,興味ある所見を得た。症例は24歳男性,霧視,体重減少の精査目的にて入院した。ダニエル生検,腹腔鏡下肝生検にてサルコイドーシスと診断し,プレドニゾロンを投与した。初回腹腔鏡検査時には黄白色斑や結節,白色陥凹などのサルコイドーシスに特異的とされる所見は認めず,肝表面は白色紋理を伴う軽度の不整像を呈していた。一方,プレドニゾロン投与9年後に施行した2回目の腹腔鏡検査では,経過中の活動性肝病変は乏しいと考えられたにもかかわらず,肝表面は白色の溝状陥凹と多数の半球状の粗大隆起により構成された不整隆起像へと変化していた。組織学的には,器質化したサルコイド結節に伴う線維化が互いに融合して線維帯を形成し,その搬痕収縮の結果,実質部分が半球状に突出してくると推察された。

Fullsize Image
著者関連情報
© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
前の記事 次の記事
feedback
Top