1988 年 27 巻 6 号 p. 882-886
細胞診で肺小細胞癌細胞と判別しがたい低分化扁平上皮癌8例を, Neuronspeci且cenolase, Keratinに対する抗体を用いて免疫組織染色を行い, その染色性と臨床像について検討した. NSEのみ強陽性の症例は3例, Keratinのみ強陽性の症例も3例, NSEとKeratinがともに陽性のものは2例であった. NSEが染色される腫瘍の増大率は, Keratinのみ陽性の腫瘍の増大率に比して有意に高く (P<0.05), 患者の予後も不良であった (P<0.05). NSEが強く染色される低分化扁平上皮癌は臨床的悪性度も高く, 肺小細胞癌の性格を有する腫瘍と考えられた.