2011 年 70 巻 4 号 p. 217-220
急性膵炎にて発症した先天性胆道拡張症の一例を経験したので報告する.症例は 8 歳,女児.腹痛を主訴に来院した.血液検査と画像所見より,急性膵炎および先天性胆道拡張症と診断して治療を開始した.急性膵炎に対しては絶飲食と補液,蛋白分解酵素阻害剤および抗生剤を投与による保存的治療を開始した.腹部症状・膵酵素の改善が認められたのちに,再発予防として成分栄養剤 (ED) による経腸栄養管理を行い,入院 28 日目に先天性胆道拡張症に対して肝外胆道切除・肝管空腸吻合術を施行した.術後経過は良好であり,術後 15 日目に退院となった.小児における急性膵炎では先天性胆道拡張症は主因の一つと考えられ,膵炎で発症した症例では膵炎の再発・再燃を防ぐためにも早期に根治術を行う事が必要であり,急性膵炎に対してはそれらを念頭に管理を行うことが肝要であると考える.