物理探査
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論文
南関東地域における微動の長期連続観測記録の地震波干渉法処理による表面波の群速度の推定
山中 浩明地元 孝輔諸井 孝文池浦 友則纐纈 一起坂上 実中井 正一関口 徹小田 義也
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2010 年 63 巻 5 号 p. 409-425

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抄録

 南関東地域において微動の長期連続観測を実施し, 地震波干渉法に基づくデータ処理によって2観測点間のグリーン関数の表面波成分の抽出を試み, 既往の深部地盤モデルの検証のための基礎的検討を行った。同地域の16地点における1年間以上の微動連続観測データを用いた地震波干渉法に基づく処理を行い, 周期2~6秒の帯域での相互相関関数を求めた。地震記録と比較することによって, 絶対振幅を議論しなければ, 得られた相互相関関数は地震記録の表面波と波形の山谷がよく一致しており, 地震波干渉法によって微動データからグリーン関数の表面波成分を抽出できることを実証的に確認した。得られた相互相関関数のマルチプルフィルター解析によって, 表面波の群速度の推定を得た。既存の深部地盤のS波速度構造モデルに対する理論値と観測値の比較を行った結果, 関東平野内部や相模湾の多くの地点では, 群速度の理論値と観測値がよく一致していた。しかし, 既存のモデルで地震基盤が露頭していると仮定されている伊豆半島や関東山地では, 観測された群速度は理論値よりも小さく, この地域のモデル修正の必要があることがわかった。これらの結果から深部地盤モデルの検証に地震波干渉法が有効に活用できることがわかった。

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© 2010 社団法人 物理探査学会
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