肝臓
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中心静脈周囲性肝傷害をきたした成人発症Still病の2例
アルコール脱水素酵素(ADH)活性および肝生検所見の観点から
厚川 和裕塚田 信廣米井 嘉一稲垣 恭孝宮本 京鈴木 修桐生 恭好佐藤 慎吉加野 象次郎
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1995 年 36 巻 1 号 p. 53-57

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抄録

ADH/GPT比が高値を示した成人発症Still病(AOSD)の2例を報告する.症例1は30歳女性.39℃台の弛張熱,発疹および関節痛を主訴に当院を受診.GOT 133IU/l, GPT 417IU/l, LDH 514IU/lと肝機能障害が認められ入院した.ADH/GPT比が高値を示し,さらに急性期の肝生検像で,中心静脈周囲に限局した肝細胞壊死が確認された.症例2は重症肝障害および播種性血管内血液凝固症を合併した44歳女性.ADH/GPT比が高値を示した.いずれの症例も副腎皮質ステロイド薬が著効し軽快した.これらAOSD 2例における肝障害の主座は中心静脈領域であることが示され,さらに血清ADH活性測定は肝障害の鑑別にも有用と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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