西日本皮膚科
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ベーチェット病症状の日本と中国比較
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1997 年 59 巻 5 号 p. 745-748

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抄録

ベーチェット病(B病)は中近東, 日本, 中国および韓国などシルクロードとその周辺諸国に多いことが疫学的に明らかにされている。1991年∼1996年日本の65例および中国の138例のB病患者について臨床資料を収集し比較検討した。性別では両国とも女性が多く, 病型別にみると日本では完全型が多く, 中国では不完全型が多く, 平均年齢は日本より中国の方が若く, 発症年齢は20∼30代, 日本では30代が多く, 病歴は日本の方が長かった(32.8年)。各症状の発現頻度は両国とも口腔内アフタが全例で認められたが, ほかの主症状は日本では皮膚症状(81.5%), 外陰部潰瘍(72.3%), 眼症状(69.2%), 中国では外陰部潰瘍(87.7%), 皮膚症状(44.2%), 眼症状(34.8%)の順になっていた。針反応は日本(47.7%)より中国での陽性率が高かった。各臨床症状の出現はHLA抗原に関しては眼症状の出現にはHLA * B51およびDQ 3抗原に, 外陰部潰瘍の出現にはHLA * B51抗原の関与が認められた。今回の調査結果により日本および中国両国はB病の多発国で, HLA * B51抗原が高頻度にみられたが, その発症年齢別, 性別, 型別, 罹病歴および各症状の出現頻度に相違が認められたことから本疾患の発症因子として遺伝子だけではなく, 地理的条件, 気候, 環境, 生活歴および既往歴などの諸素因も深くかかわるものと考えられる。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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