日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
症例報告
審美的インプラント治療における
Tissue Management を考慮した一症例
難波 智美辰巳 順一葛山 賢司北爪 昭彦申 基吉吉
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 49 巻 4 号 p. 323-331

詳細
抄録

現代のインプラント治療においては, 多くの患者から機能性だけでなく審美性も要求される。本症例の患者は全身的に健康な17歳の女性である。交通事故による歯根部の破折により, インプラント治療が必要となった。本症例ではプロビジョナル・レストレーションを用いた軟組織の調整と抜歯即時インプラント埋入により審美性を確保した。抜歯即時埋入時には, β-リン酸三カルシウムと多血小板血漿を用いて骨増大を行った。骨増大を行う前にプロビジョナル・レストレーション作製のためにサージカル・インデックス法を用い, 2次手術時に装着できるようにした。さらに即時埋入時の骨増大を成功させるために抜歯する前に歯を残根状にし, 残根上を上皮が被覆するようにした。インプラント埋入の5ヵ月後, 審美的な軟組織形態を形成するためにプロビジョナル・レストレーションの形態を微調整した。調整されたプロビジョナル・レストレーションは最終補綴物の形態に反映させた。本症例では, 侵襲を可能な限り少なくし欠損部位の周囲組織を保全することで, 軟組織形態の誘導を行い審美的な結果を得ることができた。

著者関連情報
© 2007 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top