2001 年 90 巻 11 号 p. 2275-2278
症例は51歳,女性.高熱を主訴に受診.各種抗生物質の投与を受けたが症状は軽快せず,不明熱の原因精査の目的で当科入院した. Gaシンチグラフィーでは前縦隔に著明な集積を認め,胸部CTにおいても同じ部位に腫瘤像を認めた.前縦隔腫瘍として,腫瘍摘出術を施行.病理組織学的にはリンパ球,形質細胞等の非特異的な細胞浸潤を伴う,広範な線維化を主体とした結節構造を認め, Sclerosing mediastinitisと診断した.術後は速やかに解熱し, CRPも徐々に低下した.一般にSclerosing mediastinitisは原因不明の疾患であり,上大静脈症候群等の胸部臓器圧迫症状で発症することが多いとされているが,本症例においては高熱以外の特異的な症状に乏しく,診断に苦慮した症例であり今回報告する.