日本内科学会雑誌
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敗血症を契機として発症した血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の1剖検例
種市 幸二今野 孝彦芝木 秀俊鈴木 知勝
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1985 年 74 巻 5 号 p. 618-623

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抄録

症例は67才,男性.敗血症,髄膜炎で入院.抗生物質療法によりほぼ軽快中,突然,血小板減少症を示し,さらに細血管障害性溶血性貧血,神経症状,発熱,腎障害を呈し,血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と診断した.直ちに大量のステロイド療法開始.アスピリン,ジピリダモールを併用し,さらにヘモネテクスモデル30Sを用い1回50m1/kgの血漿を新鮮凍結血漿と交換した.意識障害の改善とLDHの低下が見られたが,血小板数の増加みられず,肺出血で死亡した.病理組織所見では全身の諸臓器(脳,肺,副腎,顎下腺,皮膚)の細動脈にPAS陽性,フィブリン染色弱陽性または陰性の内皮下沈着を認めた.敗血症が発症の引き金となつたと思われるTTPの1例を経験し,血漿交換療法における血小板数の変化が予後判定に役立つ可能性を報告した.

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