日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
TIAの新概念と脳卒中急性期治療の変化
峰松 一夫
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2013 年 102 巻 3 号 p. 731-737

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抄録

脳血管障害領域で話題となっている一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)の新しい概念と診療システム,recombinant tissue-type plasminogen activator(rt-PA)静注療法と関連技術について概説した.
従来,局所性脳虚血による症候が24時間以内に消失すれば,TIAという診断がなされてきた.最近,拡散強調画像(diffusion-weighted image:DWI)上の病巣陽性例がかなり高率であることが報告され,早期のイベント発生率が高いこと,そのリスク因子等が明らかにされた.迅速かつ適切な診療介入でイベント発生を回避する目的で,TIAクリニックのシステム構築が提唱されている.
脳梗塞に対する超急性期rt-PA静注療法が国内承認されてから7年以上が経過し,市販後調査や臨床研究により,国内治療成績は欧米のそれと遜色がないことが示された.2012年8月には治療可能時間が3時間から4.5時間へ延長され,適正治療指針も改訂された.今後の課題として,治療可能時間のさらなる延長,新しい製剤の開発,超音波血栓溶解や脳血管内治療デバイスを論じた.

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© 2013 一般社団法人 日本内科学会
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