1979 年 28 巻 2 号 p. 69-72
ガスクロマトグラフィーによる光学異性体分離用の固定相としてよく知られているN-アシルジペプチドエステルの性能を改良するため,N,N'-[2,4-(6-エトキシ-1,3,5-トリアジン)ジイル]-ビス-(L-バリル-L-バリンイソプロピルエステル)[I]及びN,N'-[2,4-(6-シクロヘキシルアミノ-1,3,5-トリアジン)ジイル]-ビス-(L-バリル-L-バリンイソプロピルエステル)[II]を合成してその性能を検討した.
その結果,[I]はアミノ酸及びアミンいずれの光学異性体に対しても良好な分離能を示し,対応するアミノ酸エステルのs-トリアジン誘導体に比べて大きい分離係数を得た.[II]はアミノ酸の分離には有効でないが,アミンの分離には[I]とほぼ同等の性能を示す.
又,[I],[II]はともに優れた熱安定性を有し,ガラスキャピラリーカラムにおける最高使用可能温度は約170℃及び約175℃である.