高分子論文集
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一般論文
Field-Flow Fractionation-MALSを用いた水溶性高分子の分子特性解析
平松 剛志大野 哲齋藤 悠太富樫 大地鳴海 敦川口 正剛
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2013 年 70 巻 2 号 p. 72-81

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抄録

フィールド–フローフラクショネーション(Field-Flow Fractionation, FFF)–多角度光散乱(MALS)を用いて,代表的な水溶性高分子であるプルラン,ポリエチレンオキシド(PEO),ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(NaPSS),部分ケン化ポリビニルアルコール (PVA)の分子特性解析を試みた.最初に,球状タンパク質の一種であるウシ血清アルブミン (BSA)をモデル物質として分離に及ぼす種々のパラメーター(スペーサー厚(w),チャンネルフロー流速VCHF,クロスフロー流速VCRF,試料濃度Cp,試料注入量,フォーカス時間)を変化させて検討を行い,FFF分離の原理確認を行った.保持時間trtr~[VCHF]-1.0[VCRF]1.0[w]2.0の関数で表され,理論から予想されるものと良く対応することがわかった.VCRF一定の条件下でプルランの分子特性解析を行ったところ,ブロード化が顕著に起こり正常なクロマトグラムを得ることはできなかった.さまざまなグラジエントVCRFを用いて水溶性高分子のFFF-MALS分析を検討したところ,VCRFが指数的に減少する方法,すなわちVCRF=A exp(−Btr)で表されるグラジエント法が適切な外場関数であることがわかった.また,高分子電解質の場合,保持時間は移動相の塩濃度Csに強く依存して変化し,とくにCsが低い場合にはメンブレンフィルターからの静電的な相互作用を受けることが示された.

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© 2013 公益社団法人 高分子学会
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