高分子論文集
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X線光電子分光法によるプラズマ重合テトラフルオロエチレンの分子構造決定
陳 捷陳 占〓王 志中
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1984 年 41 巻 12 号 p. 705-710

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抄録

グロー領域で生成したテトラフルオロエチレンのプラズマ重合体 (PPTFE) 薄膜の元素組成と構造をX線光電子分光 (XPS) 法によって分析した. F18及びC16スペクトル強度から求めたPPTFE中のフッ素と炭素の組成比 (F/C) は1.42であった. 波形解析したClsスペクトル領域には5種類のピークが含まれており, C18結合エネルギーはそれぞれ284.7士0.4, 287.0±0.3, 289.0±0.2, 291.5±0.2, 293.6±0.1eVであった. C18スペクトルの帰属を行うために, 低分子モデル化合物の各種炭素基におけるC18結合エネルギーシフト量ΔE (C18) を (i) CNDO/2法による電荷計算を基礎とする静電ポテンシャルモデル, 及び (ii) 電気陰性度パラメータ法を用いて推算した. これらの理論計算の結果, フッ素置換に基づくC18結合エネルギーの増加量に関する経験式が導かれた. この経験式から, PPTFEは高度に枝分かれし, 橋かけしたセグメント構造を含んでいることが確かめられた.

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